労災保険の障害等級(2級)

労災保険の障害等級(2級)

労災の2級等級とは?

労働能力喪失率100%の後遺症が残るもの

労働者災害補償保険法施行規則の表に2級に該当する項目が詳しく定められており、いずれかの要件を満たす必要があります。いずれの要件も労働能力喪失率100%の後遺症が残る場合です。下記表を詳しく見ていきましょう。

労災保険の障害等級(2級)

障害等級2級給付内容身体障害
1同277日分
※毎年支給
一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になったもの
2両眼の視力が〇・〇二以下になったもの
2の2神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2の3胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3両上肢を手関節以上で失ったもの
4両下肢を足関節以上で失ったもの

目の障害に関して

1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になったもの

2.両眼の視力が〇・〇二以下になったもの

両眼の視力が〇・〇二以下になったもの
「失明」とは

「失明」とは、眼球を亡失(摘出)したもの、明暗を弁別できないもの及びようやく明暗を弁ずることができる程度のものをいい、光覚弁(明暗弁)または手動弁が含まれます。

「光覚弁」とは

「光覚弁」とは、暗室にて被験者の眼前で照明を点滅させ、明暗が弁別できる視力をいいます。

「手動弁」とは

「手動弁」とは、検査者の手掌を被験者の眼前で上下左右に動かし、動きの方向を弁別できる能力をいいます。

「指数弁」とは

「指数弁」とは、検査者の指の数を答えさせ、それを正答できる最長距離により視力を表わすもので「1m/指数弁」(視力0.02に相当)、「50cm/指数弁」(視力0.01に相当)等と表記します。

視力の測定は、原則として、万国式試視力表によります。実際上これと同程度と認められる文字、図形等の指標を用いた試視力表または視力測定表を用いてもよいとされています。

万国式試視力表は、5mの距離にある直径7.5mmの図形(ランドルト環)を約200ルクスの明るさにおいて、その切れ目が見分けられる場合に視力を1.0とし、被検者の見分けられる最小の図形をこれと比較して、その視力を推定します。例えば、2倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.5、10倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.1となります。

なお、「視力」とは、矯正視力をいいます。ただし、矯正が不能な場合には裸眼視力になります。
矯正視力には、眼鏡による矯正、医学的に使用可能なコンタクトレンズによる矯正または眼内レンズによる矯正によって得られた視力が含まれます。

神経系の障害に関して

2の2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

脳の器質性障害について、「高次脳機能障害」(器質性精神障害)と「身体性機能障害」(神経系統の障害)に区分した上で、「高次脳機能障害」の程度、「身体性機能障害」の程度及び介護の要否・程度を踏まえて総合的に判断します。

(1)高次脳機能障害

生命維持に必要な身の回りの処理の動作について、随時介護を要するもの

高次脳機能障害のため2級と認められるのは、「生命維持に必要な身のまわり処理の動作について随時介護を要するもの」である場合です。高次脳機能障害とは認知、行為(の計画と正しい手順での遂行)、記憶、思考、判断、言語、注意の持続などが障害された状態であるとされており、全般的な障害として意識障害や痴ほうも含むとされています。具体的に以下のような場合です。

  • 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
  • 高次脳機能障害による痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの
  • 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
(2)身体性機能障害

生命維持に必要な身の回りの処理の動作について、随時介護を要するもの

身体性機能障害のため2級と認められるのは、「生命維持に必要な身のまわり処理の動作について随時介護を要するもの」である場合です。具体的には以下のような場合です。

  • 高度の片麻痺が認められるもの
  • 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
(3)せき髄障害

生命維持に必要な身の回りの処理の動作について、随時介護を要するもの

せき髄症状のため2級と認められるのは、「生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」である場合です。具体的には以下のような場合です。

  • 中等度の四肢麻痺が認められるもの
  • 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
  • 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

呼吸系の障害に関して

2の3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

胸腹部臓器の後遺障害には、①呼吸器の障害、②循環器の障害、③腹部臓器の障害、④泌尿器の障害、⑤生殖器の障害があります。2級において問題となるのは呼吸器の障害です。

呼吸器の後遺障害

判定方法は①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による判定、②スパイロメトリーの結果および呼吸困難の程度による判定、③運動負荷試験の結果による判定があります。
原則として①に判定された等級に認定します。ただし、その等級が②または③により判定された等級より低い場合には、②または③により判定された等級により認定します。

①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による障害等級の判定
以下の場合で、かつ、「随時介護が必要な場合」のとき、2級と認められます。

  • 動脈血酸素分圧が50Torr以下で動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内(37Torr~43Torrのもの)
  • 動脈血酸素分圧が50Torr超~60Torrで動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外

②スパイロメトリーの結果および呼吸困難の程度による障害等級の判定
スパイロメトリーの結果が1秒量あたり35%以下又は肺活量が40%以下の場合で、呼吸困難の程度が高度(呼吸困難のため、連続して概ね100m以上歩けないもの)の場合で、かつ、「随時介護が必要な場合」のとき、2級と認められます。

腕の障害に関して

3.両上肢を手関節以上で失ったもの

両上肢を手関節以上で失ったもの

「上肢を手関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

  • ひじ関節と手関節の間において上肢を切断したもの
  • 手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

脚の障害に関して

4.両下肢を足関節以上で失ったもの

両下肢を足関節以上で失ったもの

「下肢を足関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

  • ひざ関節と足関節の間において切断したもの
  • 足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断したもの

2級に該当すると、いくらもらえる?

給付基礎日額の277日分が、障害が残る限り毎年継続して支払われます。

給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。平均賃金とは、原則として、事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。

試算例

賃金・月給20万円(賃金締切日が毎月末日、労働災害が10月に発生した場合)

→給付基礎日額は、20万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)≒6,521円73銭となります。
なお、給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、これを1円に切り上げるので、今回の額は6,522円になります。

労働災害により2級の後遺障害が残ったと認定された場合、障害保障給付金として
6,522円×223日=1,806,594円が障害が残る限り毎年継続して支払われることになります。


私たちが、お客様の利益を一番に考え、尽力いたします。
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