労災保険の障害等級(6級)

労災保険の障害等級(6級)

労災の6級等級とは?

労働能力喪失率67%の後遺症が残るもの

労働者災害補償保険法施行規則の表に6級に該当する項目が詳しく定められており、いずれかの要件を満たす必要があります。いずれの要件も労働能力喪失率67%の後遺症が残る場合です。下記表を詳しく見ていきましょう。

労災保険の障害等級(6級)

障害等級6級給付内容身体障害
1同156日分
※毎年支給
両眼の視力が〇・一以下になったもの
2そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
3の2一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの

目の障害に関して

1 両眼の視力が〇・一以下になったもの

両眼の視力が〇・一以下になったもの

視力の測定は、原則として、万国式試視力表によります。実際上これと同程度と認められる文字、図形等の指標を用いた試視力表または視力測定表を用いてもよいとされています。

万国式試視力表は、5mの距離にある直径7.5mmの図形(ランドルト環)を約200ルクスの明るさにおいて、その切れ目が見分けられる場合に視力を1.0とし、被検者の見分けられる最小の図形をこれと比較して、その視力を推定します。例えば、2倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.5、10倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.1となります。

「視力」とは、矯正視力をいいます。ただし、矯正が不能な場合には裸眼視力になります。
矯正視力には、眼鏡による矯正、医学的に使用可能なコンタクトレンズによる矯正または眼内レンズによる矯正によって得られた視力が含まれます。

口の障害に関して

2.そしやく(咀嚼)又は言語の機能に著しい障害を残すもの

そしやく(咀嚼)又は言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼機能の障害は、上下咬合(かみあわせ)および配列状態ならびに下顎の開閉運動等により総合的に判断します。

「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食またはこれに準じる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。

「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音不能のものをいいます。

耳の障害に関して

3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

両耳の平均純音聴力レベルが80db以上のもの、又は両耳の平均純音聴力レベルが50db以上80db未満であり、且つ、最高明瞭度が30%以下のものをいいます。

3の2.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

1耳の平均純音聴力レベルが90db以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70db以上のものをいいます。

せき柱の障害に関して

4.せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

「著しい変形又は運動障害を残すもの」に加えて、脊柱の荷重機能(支持機能)に障害があることも6級として認められます。

「脊柱に著しい変形を残すもの」とは、エックス線写真、CT画像またはMRI画像により、脊椎圧迫骨折や脱臼などを確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいいます。

(1)せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの

「前方椎体高が著しく減少」したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個あたりの高さ以上であるものをいいます。

(2)せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの

「前方椎体高が減少」したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個あたりの高さの50%以上であるものをいいます。

「脊柱に著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかにより頸部及び胸腰部が強直したものをいいます。

  • 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
  • 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

せき柱の荷重機能(支持機能)障害

その原因が明らかに認められる場合であって、そのために頸部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするものが6級と認められます。

「その原因が明らかに認められる場合」とは、脊柱圧迫骨折・脱臼、脊柱を支える筋肉の麻痺または項腰背部軟部組織の明らかな器質的変化が存在し、それがエックス線写真等により確認できる場合です。

脚の障害に関して

5.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

  • 関節が強直したもの
  • 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
  • 人工関節・人口骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

「関節の強直」とは、関節の完全強直またはこれに近い状態にあるものをいいます。「これに近い状態」とは、関節可動域が、健側の関節可動域角度の10%程度以下に制限されているものをいいます。

6.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

脚の指にの障害に関して

7.一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの

手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの

片方の手の全ての指、または、親指を含んだ4本の指を失った場合を言います。

「手指を失ったもの」とは、親指は指節間関節(IP)、その他の手指は近位指節間関節(PIP)以上を失ったものとされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。

  • 手指を中手骨または基節骨で切断したもの
  • 近位指節間関節(PIP)《親指にあっては指節間関節(IP)》において、基節骨と中節骨とを離断したもの

6級に該当すると、いくらもらえる?

給付基礎日額の156日分が、障害が残る限り毎年継続して支払われます。

給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。平均賃金とは、原則として、事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。

試算例

賃金・月給20万円(賃金締切日が毎月末日、労働災害が10月に発生した場合)

→給付基礎日額は、20万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)≒6,521円73銭となります。
なお、給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、これを1円に切り上げるので、今回の額は6,522円になります。

労働災害により6級の後遺障害が残ったと認定された場合、障害保障給付金として
6,522円×156日=1,017,432円が障害が残る限り毎年継続して支払われることになります。


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