労災の4級等級とは?
次に、4級を見ていきましょう。
労働者災害補償保険法施行規則の表に4級に該当する項目が詳しく定められており、いずれかの要件を満たす必要があります。いずれの要件も労働能力喪失率92%の後遺症が残る場合です。下記表を詳しく見ていきましょう。
■労災保険の障害等級(4級)
障害等級4級 | 給付内容 | 身体障害 |
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1 | 同184日分 ※毎年支給 | 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になったもの |
1の2 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | |
1の3 | の三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | |
2 | 一上肢を手関節以上で失ったもの | |
3 | 一下肢を足関節以上で失ったもの | |
4 | 一上肢の用を全廃したもの | |
5 | 一下肢の用を全廃したもの | |
6 | 両足の足指の全部を失ったもの |
目の障害に関して
1 両眼の視力が〇・〇六以下になったもの
視力の測定は、原則として、万国式試視力表によります。実際上これと同程度と認められる文字、図形等の指標を用いた試視力表または視力測定表を用いてもよいとされています。
万国式試視力表は、5mの距離にある直径7.5mmの図形(ランドルト環)を約200ルクスの明るさにおいて、その切れ目が見分けられる場合に視力を1.0とし、被検者の見分けられる最小の図形をこれと比較して、その視力を推定します。例えば、2倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.5、10倍の大きさの図形しか見分けられなければ視力0.1となります。
視力」とは、矯正視力をいいます。ただし、矯正が不能な場合には裸眼視力になります。
矯正視力には、眼鏡による矯正、医学的に使用可能なコンタクトレンズによる矯正または眼内レンズによる矯正によって得られた視力が含まれます。
口の障害に関して
2 そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
咀嚼機能の障害は、上下咬合(かみあわせ)および配列状態ならびに下顎の開閉運動等により総合的に判断します。
「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食またはこれに準じる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。
「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音不能のものをいいます。
耳の障害に関して
3 両耳の聴力を全く失ったもの
両耳の平均純音聴力レベルが90db以上のもの、又は両耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり、且つ最高明瞭度が30%以下のものをいいます。
腕の障害に関して
4 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
①「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
・肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの
・肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
・ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの
脚の障害に関して
5 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
・股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
・股関節とひざ関節との間において切断したもの
・ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの
7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
「リスフラン関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
・足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨からなる)において切断したもの
・リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離断したもの
手の指の障害に関して
6 両手の手指の全部の用を廃したもの
「手指の用を廃したもの」とは、手指の末節骨の半分以上を失い、または、中手指節関節(MP)もしくは近位指節間関節(PIP)《おや指にあっては指節間関節(IP)》に著しい運動障害を残すものとされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。
・手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
・中手指節関節(MP)または近位指節間関節(PIP)《おや指にあっては指節間関節(IP)》の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの
おや指については、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の2分の1以下に制限されているものも「著しい運動障害を残すもの」として取り扱います。
手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも「手指の用を廃したもの」として取り扱います。このことは、医学的に当該部位を支配する感覚神経が断裂し得ると判断される外傷を負った事実を確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認することによって認定されます。
4級に該当すると、いくらもらえる?
4級に該当すると、給付基礎日額の213日分が、障害が残る限り毎年継続して支払われます。
給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。平均賃金とは、原則として、事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。
※試算例
例えば、月20万円の賃金を受けている人がいて、賃金締切日が毎月末日、労働災害が10月に発生した場合、給付基礎日額は、20万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)≒6,521円73銭となります。
なお、給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、これを1円に切り上げるので、今回の額は6,522円になります。
したがって、労働災害により4級の後遺障害が残ったと認定された場合、障害保障給付金として6,522円×213日=1,389,186 円が支払われることになります。