労災年金とは?いつまで・いくら受け取れるのかを解説

労災による補償には、一時的に給付金の給付を行うものと、年金として定期的に給付金の給付を行うものがあります。後者の給付は労災年金と呼ばれ、労災による傷病の状態によって、その種類や金額は異なります。

今回ご紹介するのは、この労災年金についてです。労災年金の種類やいつまで・いくら受け取れるのか、また注意点について、詳しく解説していきましょう。

労災保険から受け取れる労災年金とは

前述のとおり、労災保険の補償には、一時的な給付金と長期にわたる定期的な給付金があります。

一時的な給付金の例として挙げられるのは、療養(補償)給付や休業(補償)給付、障害(補償)一時金、遺族(補償)一時金などです。これらの給付金は傷病が治ゆするまで、労働基準監督署へ都度(休業給付は1ヶ月ごと)申請を行い、認定を受けることで受け取ることができます。

一方の、労災保険から受け取れる、長期にわたる定期的な給付金は労災年金と呼ばれ、労災による傷病が長期間治らなかったり障害が残ったりした時に給付されます。
この労災年金の種類は以下の3種です。

◆労災年金の種類
・傷病(補償)年金
・障害(補償)年金
・遺族(補償)年金
※業務災害の場合は〇〇補償年金、通勤災害の場合は〇〇年金と呼ばれます。

これらの労災年金を受給するための条件や給付内容は、各年金によって異なります。
次章から各年金について詳しく見ていきましょう。

傷病(補償)年金

傷病(補償)年金は、労災による傷病で療養を開始してから1年6ヶ月を経過した日、またはその日以降に、以下の二つの条件を満たす場合に受け取れる年金です。

・傷病が治ゆしていない
・傷病による障害の程度が、定められた傷病等級表の傷病等級に該当する

傷病等級は1級・2級・3級と三段階に分けられていて、等級によって給付金額は変わります。

傷病(補償)年金が支給される場合には、休業(補償)給付は打ち切りとなるので注意しましょう。ただし、療養(補償)給付については、それまで通り受給することができます。

傷病(補償)年金で受け取れる金額

傷病(補償)年金で受け取れる金額を表で見ていきましょう。
傷病(補償)年金給付の際には、それに加えて傷病特別支給金(一時金)および傷病特別年金の給付も受けることができます。

傷病等級 傷病(補償)年金 傷病特別支給金

(一時金)

傷病特別年金
第1級 給付基礎日額の313日分 114万円 算定基礎日額の313日分
第2級 給付基礎日額の277日分 107万円 算定基礎日額の277日分
第3級 給付基礎日額の245日分 100万円 算定基礎日額の245日分

※給付基礎日額
事故の発生日、または医師の診断で疾病の発生が確定した日の直前3ヶ月間に、その労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の日数で割った、1日あたりの平均賃金額のこと

※算定基礎日額
事故の発生日、または医師の診断で疾病の発生が確定した日以前1年間に、その労働者が事業主から受けた特別給与の総額を365で割った額のこと

なお、傷病(補償)年金は、支給要件を満たした月の翌月分から支給されます。支払いは各偶数月で、毎回2ヶ月分が支払われることになります。

傷病(補償)年金はいつまで受け取れるのか

傷病(補償)年金は、「傷病が治ゆしていない」「傷病による障害の程度が、定められた傷病等級表の傷病等級に該当する」という二つの要件を満たしている限り、受け取り続けることができます。
ただし、傷病が症状固定となった場合には、「治ゆ」となり上記条件を満たしません。その時点で一定の障害が残った場合には、給付は次にご紹介する障害(補償)年金へ切り替えられます。

障害(補償)年金

障害(補償)年金は、労災による傷病が治ゆ(症状固定)した時、身体に障害等級表の障害等級1級〜7級に該当する障害が残った場合に受け取れる年金です。障害等級8級〜14級の場合は、障害(補償)一時金の給付となります。

障害(補償)年金で受け取れる金額

障害(補償)年金で受け取れる金額を表で見ていきましょう。障害(補償)年金給付の際には、それに加えて障害特別支給金(一時金)および障害特別年金の給付も受けることができます。

  障害(補償)年金 障害特別支給金

(一時金)

障害特別年金
第1級 給付基礎日額の313日分 342万円 算定基礎日額の313日分
第2級 給付基礎日額の277日分 320万円 算定基礎日額の277日分
第3級 給付基礎日額の245日分 300万円 算定基礎日額の245日分
第4級 給付基礎日額の213日分 264万円 算定基礎日額の213日分
第5級 給付基礎日額の184日分 225万円 算定基礎日額の184日分
第6級 給付基礎日額の156日分 192万円 算定基礎日額の156日分
第7級 給付基礎日額の131日分 159万円 算定基礎日額の131日分

傷病(補償)年金は、支給要件を満たした月の翌月分から支給されます。支払いは各偶数月で、毎回2ヶ月分が支払われることになります。

障害(補償)年金はいつまで受け取れるのか

障害(補償)年金の受給には期限がありません。対象の被災労働者が存命である限り、受給し続けることができます。

遺族(補償)年金

遺族(補償)年金は、労災で亡くなった労働者の遺族に対して給付される年金です。対象となるのは、被災労働者が亡くなった当時、その収入によって生活を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。

遺族(補償)年金は、下記受給資格者のうちの最先順位者を受給権者として給付されます。

◆受給資格者における受給権者の順位
①妻、または60歳以上か、一定の障害がある夫
②18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある、または一定の障害がある子
③60歳以上、または一定の障害がある父母。
④18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある、または一定の障害がある孫
⑤60歳以上、または一定の障害がある祖父母
⑥18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある、または60歳以上、または一定の障害がある兄弟姉妹
⑦55歳以上60歳未満の夫
⑧55歳以上60歳未満の父母
⑨55歳以上60歳未満の祖父母
⑩55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

上記の一定の障害とは、障害等級第5級以上の身体障害を指します。

遺族(補償)年金で受け取れる金額

遺族(補償)年金で受け取れる金額は、遺族数によって変わります。ここでいう遺族数とは、受給権者および受給権者と生計を共にする受給資格者の数を指します。
また、受給権者が2人以上いる場合には、人数分に等分した額がそれぞれの受給権者に給付されることになります。

遺族数 遺族(補償)年金 遺族特別支給金

(一時金)

遺族特別年金
1人 給付基礎日額の153日分

(遺族が55歳以上の妻、または一定の障害状態にある妻の場合は、給付基礎日額の175日分)

300万円 算定基礎日額の153日分

(遺族が55歳以上の妻、または一定の障害状態にある妻の場合は、給付基礎日額の175日分)

2人 給付基礎日額の201日分 算定基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分 算定基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分 算定基礎日額の245日分

 

遺族(補償)年金はいつまで受け取れるのか

遺族(補償)年金を受け取れる期間は、立場によって以下のように異なります。

・配偶者・・・死亡・再婚するまで
・子や孫または兄弟姉妹・・・18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了するまで
・一定の障害という要件で受給資格者になった者・・・障害等級5級以上に該当しなくなった時まで

また、受給権者が受給権を失った場合には、次の順位の受給資格者が受給権者になります。

労災年金の注意点

労災年金については、以下の点にも注意しておきましょう。

注意点①定期報告が必要

労災年金を受給している方は、年に1回、労働基準監督署へ定期報告を行わなければなりません。送付されてくる定期報告書を期限までに必ず提出するようにしましょう。
ただし、労働基準監督署長が必要ないと認めたり特定個人情報を提供したりした場合には、この定期報告は不要になることもあります。

注意点②厚生年金との調整が生じる

障害厚生年金や遺族厚生年金などの厚生年金と、障害(補償)年金や遺族(補償)年金なとの労災年金を両方受給する場合、金額調整が生じます。これら両方を満額で受給するとなると、年金額が被災前の賃金よりも多くなってしまうためです。
厚生年金と労災年金を両方受け取る場合には、労災年金の額が減額されることを知っておきましょう。

まとめ

傷病(補償)年金・障害(補償)年金・遺族(補償)年金の3種に分けられる労災年金は、労災を被った労働者やその遺族を金銭面で支える制度です。年金の種類によって、条件や金額は異なるため、請求時にはよく確認するようにしましょう。

また、労災については、「労災と認められない」「会社が労災認定をさせてくれない」などといったトラブルが発生するケースも珍しくありません。速やかなトラブル解決のため、労災トラブルに遭った場合には、労災案件を得意とする弁護士に相談するようにしましょう。