労災申請の弁護士費用はどれくらいかかる?弁護士費用特約も紹介

労災に関するトラブル相談先のひとつに、弁護士が挙げられます。弁護士は法律の知識を生かし、依頼者の抱えるトラブルを解決します。
しかし、弁護士に相談をしたり手続きの依頼をしたりするにあたって気になるのが、弁護士費用です。弁護士に労災に関する相談をしたり労災申請手続きを依頼したりした場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
そこで今回は、労災申請における弁護士費用の相場についてご紹介しましょう。

労災申請にかかる弁護士費用の内訳と相場

労災申請を弁護士に依頼するメリット

労働者が労災にあった場合、被災労働者は労災保険による補償を受けられます。
しかし、業務を原因に怪我や病気を被ったにも関わらず、その因果関係を証明できずに労災認定を受けられなかったり会社が責任を認めず手続きに協力しなかったりと、労災申請がうまくいかないケースは少なくありません。
そこで活躍するのが、弁護士です。弁護士は優れた法律の知識と経験を生かして被災労働者をサポートし、労災の証拠を集めて労災認定を目指します。
弁護士に依頼することで、被災労働者は行うべき行動をアドバイスしてもらえたり、労災を証明する証拠を集めてもらえたりと、労災手続きに関わる多くのメリットを受けることができます。
また、弁護士を間に入れることで、会社との労災問題が早期に解決する場合もあります。

こんな場合は弁護士への依頼を検討して

労災にあったからといって、必ず弁護士に相談しなければならないわけではありません。会社が協力的でスムーズに手続きが進み、問題なく労災認定を受けられたのであれば、弁護士の力を借りずとも、被災労働者はスムーズに補償を受けられます。
労災において、弁護士への相談や依頼を検討したいのは、以下のような場合です。

  • 会社が労災申請に協力的でない場合
  • 労災認定されない可能性がある場合
  • 労災手続きを自身で行うのが不安な場合
  • 損害賠償請求を検討している場合

上記のような場合には、労災を証明したり複雑な手続きをサポートしたりしてもらうために、弁護士の手を借りることが有効です。
ただし、会社が協力的でなくても、労災申請は労働者だけでも行えるため、必ず弁護士に相談しなければならないわけではありません。

弁護士費用の内訳と相場

労災申請を依頼した時の基本的な弁護士費用の内訳やおおよその相場は、以下のようになります。

相談料 0〜1万円
着手金 0〜30万円
成功報酬 獲得金額の10〜30%
日当(出張費等) 数万円
その他実費(切手・印紙代、交通費コピー・紹介代等) 数万円

ただし、上記は「着手金・成功報酬方式」の場合です。「着手金・成功報酬方式」ではなく、「タイムチャージ方式」や「固定額方式」を採用する弁護士事務所もあり、その場合の費用は事務所によって異なるため、相場を述べることはできません。「着手金・成功報酬方式」「タイムチャージ方式」「固定額方式」とは、それぞれ以下のような費用形態を指します。

着手金・成功報酬方式
案件着手時の着手金と、成功時の成功報酬を費用とする費用形態。依頼時に着手金を支払い、案件が成功すれば、成功報酬を支払う。
タイムチャージ方式
時間制の費用形態。規定の時間単価に実動時間を掛けたものが、費用となる。一定の時間分を依頼時に支払うことが多い。
固定額方式
案件に応じてあらかじめ固定の金額が決められている費用形態。依頼時に費用を支払うことが多い。

また、労災申請と賠償請求を行う場合には、それぞれに費用がかかる可能性があります。さらに、認定されなかった労災の異議申し立てを行う場合には、異議申し立てのための弁護士費用が別途かかります。

弁護士に依頼する前には、正確な費用を知ることが大切です。まずは、依頼したい弁護士事務所に問い合わせたり無料相談を利用したりして、具体的な費用を把握しましょう。

法律事務所テオリアの弁護士費用はこちらでご紹介しています。

いきなり弁護士に依頼するのはハードルが高い方は、こんな方法も

ご紹介したように、労災関連の問題を弁護士に依頼するには、ある程度の費用がかかります。そのため、いきなり弁護士に依頼することに抵抗がある人もいるでしょう。
しかし、労災問題を解決する方法は、弁護士への依頼だけではありません。労災に関する相談は、弁護士への依頼以外にも、「弁護士への無料相談利用」「労働基準監督署への相談」「法テラスの利用」などで行うことができます。

弁護士への無料相談利用

多くの弁護士事務所では、無料相談を受け付けています。初回相談料を無料としたり、Webページ経由で無料相談を受け付けたり、また電話やLINEでの相談を無料としたりと形態はさまざまで、中には弁護士の無料相談先を紹介する専門サイトも存在しています。
弁護士へ依頼するとなると費用がかかりますが、無料相談をうまく利用し、まずは依頼した場合の大まかな流れや費用感について把握すると良いでしょう。

労働基準監督署への相談

労働基準監督署は、労災の調査や認定を行うだけでなく、労災に関する相談も受け付けています。各労働基準監督署には相談窓口が設けられており、労災や労災保険、労働に関する法律違反などについての相談が可能です。
相談を受けた労働基準監督署は、助言や指導、情報提供、連携機関へのあっせんなどを行い、問題の解決を目指します。
また、労働基準監督署に提出する労災関連書類の作成に事業主が協力しない場合には、書類提出時にその旨を労働基準監督署に相談すれば、事業主欄が白紙のままでも書類受付をしてもらえます。

法テラスの利用

法テラスとは、法的トラブル解決のための総合案内所である日本司法支援センターのことです。国によって設立されており、法制度に関する情報や相談機関に関する情報を無料提供しています。
労災トラブルを抱えた場合には、まず法テラスに相談し、必要な情報提供を受けるのもひとつの方法です。必要な場合には、法テラスが弁護士費用の立替えを行うこともあるため、弁護士費用を支払う経済的余裕がない方は、一度相談してみると良いでしょう。

弁護士費用特約とは?

労災問題を弁護士へ依頼するには費用がかかりますが、加入保険の弁護士費用特約を利用できる場合には、依頼者の費用負担はなくなります。

弁護士費用特約とは
交通事故などにおける弁護士費用を、指定の額まで保険で賄える特約のこと。各種保険の特約として整備されている。

加入している保険に弁護士特約をつけており、労災の内容が対象範囲内であれば、保険負担で弁護士費用を賄いながら、弁護士への依頼を行うことができます。もちろん、これは労災関連の事象に限りません。
弁護士特約は、以下のような保険において、特約として整備されています。

弁護士費用特約がある保険の例

  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 医療保険
  • 生命保険
  • 自転車保険
  • 住宅・家財保険
  • 海外旅行保険

弁護士費用特約付きの保険のうち、代表的なものは自動車保険でしょう。労災の場合で言うなら、自動車保険の弁護士費用特約は、通勤中や業務による外出中の交通事故等における労災関連手続きに利用できます。
ただし、保険によって弁護士特約の対象者や対象事象は異なるため、自身の加入している保険と特約について今一度確認しておきましょう。

まとめ

労災に関する問題を抱えた時、弁護士のサポートは労働者の大きな力になります。問題を1人で抱え込み解決しようとするのではなく、専門家の手を借りることも検討しましょう。
ただし、弁護士への依頼には費用がかかります。そのため、まずは無料で利用できる相談や情報収集から始め、自分にとって最適な手段を選択するようにしましょう。