労災事故については、会社との間でトラブルに発展する例がよく見られます。
例えば、「会社が労災を認めようとしない」「労災を申請したら会社で不当な扱いを受けるようになった」など。
また、労災の発生について会社側や第三者に責任がある場合には、労働者側で損害賠償請求を検討することもあるでしょう。
このような労災トラブルや損害賠償請求では、弁護士のサポートが必要です。法律の知識や交渉の技術に長けている弁護士の手を借りれば、トラブルはスムーズに解決でき、労働者は適切な補償を受けることができるでしょう。
では、この時依頼する弁護士は、どのようなポイントに気をつけて選べば良いのでしょうか。
そこで今回は、労災問題に強い弁護士を選ぶために注目したい4つのポイントについて詳しくご紹介します。
①労災問題の解決実績があること
労働災害に関する問題を解決するために、弁護士に依頼する際には、その弁護士に労災問題の解決実績が豊富にあるかどうかを確認する必要があります。その理由は、次の3つです。
- 労災問題を有利に解決できるから
- 労災問題をスピーディに解決できるから
- サポートが手厚いから
弁護士と聞くと様々な依頼を受けるイメージがありますが、実際には弁護士によって得意分野は異なります。労災問題の納得のいく解決を目指すなら、労災問題を得意とする弁護士に依頼すべきです。
労災問題を得意とする弁護士は、各種労働法に精通し、労災問題の解決実績も豊富です。各種労働法やその制度には複雑なものも多いですが、労災問題および法に関する知識と経験に長けた弁護士であれば、それらを正しく理解し、依頼者に有利な交渉を実現できるでしょう。
労災問題に携わった経験が少ない弁護士では、このような対応は不可能です。依頼者が納得する結果を導き出せなかったり、また問題解決に時間を要してしまったりする恐れがあります。
さらに、
「労災問題を得意としているかどうか」「労災問題の解決実績があるかどうか」
によって、弁護士によるサポートの細やかさには差が出ます。
労災問題に精通している弁護士であれば、急な労災発生で戸惑う労働者が相談に訪れても、その不安を払拭しながら、しっかりと総合的なサポートを行ってくれるでしょう。
しかし、労災問題の解決実績が乏しい弁護士の場合、
「手続きは自分で進めてください」「そういったことは自分で労基署に相談してください」
などと、積極的なサポートを行わない可能性があります。
また、慣れていない分野であるために、スムーズなサポートを行えないことも考えられます。これでは、傷病を負った労働者は安心を得られません。
これらのことから、労災問題をスムーズに解決し納得のいく結果を得るため、また総合的なサポートにより安心を得るためには、労災問題を得意とし、その解決実績を豊富に持つ弁護士を選ぶことをおすすめします。
②労働者側の弁護士であること
労働災害に関する問題解決のために弁護士を選ぶ際には、「労働者側の弁護士であるかどうか」という点にも注目する必要があります。その理由は、次の2つです。
- 労働者を弁護するノウハウに長けているから
- 利益相反のリスクがないから
労働問題を受け付けている弁護士は、「主に企業側の弁護を担っている弁護士」と「主に労働者側の弁護を担っている弁護士」の2種に分けられます。案件によって企業と労働者両方の弁護を行なうというケースは少なく、企業専門または労働者専門として活動している弁護士がほとんどでしょう。
よって、労働者が労災問題を解決するにあたってより有利な結果を得るには、労働者側の弁護を得意とする弁護士を見つけなければなりません。企業側の弁護を得意とする弁護士に依頼してしまっては、労働者を弁護するためのノウハウが足りず、思うような結果を得られない可能性があるためです。
会社や第三者への損害賠償請求にあたっても、弁護士に労働者側での請求経験が乏しければ、交渉を優位に進めることは困難になります。その結果として十分な補償を勝ち取れなければ、労働者はその後大きな金銭負担を負うことになってしまうでしょう。
また、これまで企業の弁護をしてきた弁護士が労働者側につくことには、利益相反が起こるリスクもあります。利益相反になるような案件を、弁護士は受けることができません。
そもそも企業弁護を得意とする弁護士に労働者側の弁護を引き受けてもらえること自体が稀でしょう。
このように、労災事故に遭った労働者が要望通りにトラブルを解決し、十分な補償を得るためには、労働者側の弁護士に依頼することが大切です。
労働者弁護に関する豊富な知識と経験を持つ弁護士に依頼することで、労働者は適切な主張をし、適切な補償を得ることができるでしょう。
③後遺障害や等級認定に詳しいこと
労災による傷病が治癒した後に障害が残った場合には、労働者は後遺障害およびその等級の認定を受けることになります。
労災保険からの補償はもちろん、損害賠償請求にあたっても、後遺障害認定の有無や等級は、補償金額に大きな影響を与えます。つまり、障害を負った労働者が十分な補償給付を受け取るためには、後遺障害の認定を受け、適切に等級を評価されることが重要になるのです。
この後遺障害の認定および等級評価についても、弁護士は大きな役割を果たします。治療のアドバイスや診断書に関する医師への要求、その他治療関連の書類の適切な作成など、認定結果を左右するサポートや手続きを担うためです。
ただしそれには、後遺障害や等級認定、医学知識に精通している必要があります。これらの制度や知識に詳しくなければ、適切なサポートは行えません。
よって、労災問題の解決は、後遺障害や等級認定、医学知識に詳しい弁護士に依頼すべきです。その見極めは簡単ではありませんが、ホームページなどに掲載されている実績や依頼前の相談時の対応から判断すると良いでしょう。
労災の後遺障害・等級認定については「労災の後遺障害を申請するには?適切な等級認定を受けるためのポイント等を解説」で詳しく解説しています。
④労災問題の専用サイトを持っていること
労災問題の専用サイトを持っているかどうかも、依頼する弁護士を選ぶ際のポイントのひとつでしょう。
労災問題の解決を得意とする、労働者側の弁護士は、不安を抱える被災労働者のため、積極的に情報発信を行なっていることが多いです。労災問題の専用サイトを作り、労災に関する細かな問題の解決策を提示していることも少なくはありません。
専用サイトの有無からは、労災問題解決に対するその弁護士の積極性を把握することができます。また、専用サイトの内容を見れば、前章で述べた後遺障害や等級、医療に関する知識の有無も確認することができるでしょう。
労災問題に関する弁護士の積極性や知識を把握するためにも、専用サイトの有無、またその内容はひとつの目安になります。
まとめ
今回は、労災問題に強い弁護士の選び方をご紹介しました。
労災問題で納得のいく解決ができるかどうかは、どの弁護士に依頼するかによっても大きく変わります。伝えるべきことをきちんと主張し、十分な補償を得るには、労働者側に立って、経験と知識、熱意を持ってサポートしてくれる弁護士に弁護を依頼しなければなりません。
弁護士の見極めは簡単ではありませんが、相談時の対応やホームページの情報から、その弁護士の実績や姿勢を慎重に判断するようにしましょう。