労災申請に必要な書類とは?入手方法・書き方・提出先について解説

労災申請では、該当の給付金の申請書を労基署、もしくは病院へ提出しなければなりません。
この申請書は給付金や労災の種類ごとに異なり、またケースによって必要な添付書類にも違いがあります。書類に抜けや漏れがあると、手続きは遅れ、給付金の受け取りが遅くなってしまう恐れがあるため、その用意は慎重に行わなければなりません。

そこで今回は、労災申請の書類について、その分類や提出先、書き方などを詳しく解説します。
スムーズな手続きの参考にお役立てください。

労災申請の手続きに必要な書類

まずは、どの労災給付にどの書類が必要か、一覧で確認していきましょう。

 

給付の種類 作成する請求書の種類 添付書類
療養補償給付 労災指定医療機関を受診した場合 療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(様式第5号)
労災指定ではない医療機関を受診した場合 療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(様式第7号)
療養給付 労災指定医療機関を受診した場合 療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3) 治療で支払った分の領収書
労災指定ではない医療機関を受診した場合 療養給付たる療養の費用請求書(様式第16号の5)
休業補償給付 休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書(様式第8号) l  同じ事由で障害厚生年金や障害基礎年金などを受け取っている場合・・・年金の支給額を証明できる書類

l  「賃金を受けなかった日」に、傷病の療養のために一部休業した日が含まれる場合・・・様式第8号、または第16号の6の別紙2

l  複数事業労働者の場合・・・様式第8号、または第16号で記入した以外の事業場に関する別紙1〜3

休業給付 休業給付支給請求書(様式第16号6)
障害補償給付 障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書(様式第10号) l  医師による診断書

l  必要に応じてレントゲン写真などの資料

l  同じ事由で障害厚生年金や障害基礎年金などを受け取っている場合・・・年金の支給額を証明できる書類

障害給付 障害給付支給請求書(様式第16号の7)
傷病補償年金 傷病の状態等に関する届(様式第16号の2)
傷病年金
遺族補償給付 遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書(様式第12号) l  被災労働者の死亡の事実と年月日を証明できる書類

l  請求人や受給資格者と被災労働者との関係を証明できる書類(戸籍謄本、抄本)

l  請求人や受給資格者が被災労働者の収入によって生計を立てていたことを証明できる書類

※ケースによっては他の書類の添付が必要になることもある

遺族給付 遺族年金支給請求書(様式第16号の8)
葬祭料 葬祭料又は複数事業労働者葬祭給付請求書(様式第16号) l  被災労働者の死亡の事実と年月日を証明できる書類
葬祭給付 葬祭給付請求書
介護補償給付 介護補償給付・複数事業労働者介護給付・介護給付支給請求書(様式第16号の2の2) l  診断書

l  介護費用を支出している場合・・・介護費用と日数がわかる書類

介護給付

このように、請求書や添付書類には多くの種類があります。書類を用意する際には、自身のケースではどの書類が必要かよく確認し、提出漏れのないよう気をつけましょう。

労災保険給付請求書の入手方法

前述した労災関連の書類は、すべて以下の厚生労働省のWebサイトから入手できます。

厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」

このページでは似た請求書が並んでいるので、ダウンロードすべき書類を間違えないようご注意ください。
また、これらは労働基準監督署で直接手に入れることも可能です。

労災の申請書類の提出先

労災の申請書類は、基本的に「労働者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署」へ提出します。提出方法は、労基署の窓口に直接持ち込むか、郵送でも受け付けてもらえます。

ここで気をつけておきたいのが、労災指定医療機関を受診した時の療養(補償)給付の申請だけは、書類の提出先が異なるということ。この時の提出先は、受診した医療機関になります、

提出先は事前によく確認し、間違いのないよう気をつけましょう。

労災申請書類の書き方

労災の申請書類の書き方には、様式ごとに違いがあります。
ここでは、もっとも代表的な給付である「療養補償給付」の申請に用いる「様式第5号」および「様式第7号」の書き方にについてご説明します。

「様式第5号」の書き方

「様式第5号」は、労災指定医療機関を受診した場合の療養補償給付の申請時に用いる書類です。

この書類では、次の項目を記入します。

【表面】
 労働保険番号
 労働者の性別
 生年月日
 負傷又は発病年月日
 労働者の氏名、住所、職種
 負傷又は発病の時刻
 災害発生事実を確認した者の職名と氏名
 災害の原因及び発生状況
 指定病院等の名称、所在地(※自身で記入する必要はありません)
 傷病の部位及び状態(※自身で記入する必要はありません)
 事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名(※自身で記入する必要はありません)
 労働者の所属事業場の名称、所在地
 請求人の住所、氏名、管轄の労働基準監督署名

【裏面】
 その他就業先の有無
 派遣先事業主証明欄(※自身で記入する必要はありません)

記入するのは上記の項目で、あとの項目は空白で構いません。

表面の「指定病院等の名称、所在地」「傷病の部位及び状態」については、受診した医療機関で記入してもらいます。
また、「事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名」部分については、事業主に記入してもらいます。この時、事業主の協力が得られない場合にはこの欄を空白にしておき、書類提出時にその旨を伝えるようにしましょう。

「様式第7号」の書き方

「様式第7号」は、労災指定以外の医療機関を受診した場合の療養補償給付の申請時に用いる書類です。

この書類では、次の項目を記入します。

【表面】
 労働保険番号
 年金証書の番号
 労働者の性別
 生年月日
 負傷又は発病年月日
 労働者の氏名、住所、職種
 振込を希望する金融機関の名称、口座名義人、預金の種類、口座番号
 事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名(※自身で記入する必要はありません)
 医師又は歯科医師の証明(※自身で記入する必要はありません)
 療養に要した費用の額
 請求人の住所、氏名、管轄の労働基準監督署名

【裏面】
 労働者の所属事業場の名称・所在地(※ 事業主証明欄の事業場と被災労働者が所属する事業場が異なる場合のみ)
 負傷又は発病の時刻
 災害発生の事実を確認した者の職名、氏名
 災害の原因及び発生状況
 療養の内訳及び金額
 その他就業先の有無
 派遣先事業主証明欄(※自身で記入する必要はありません)

記入するのは上記の項目で、あとの項目は空白で構いません。

これらの書類は、共通する項目も多いですが、構成はそれぞれで異なります。
また、5号は医療機関へ、7号は労働基準監督署へ提出するようにしてください。

申請書類の書き方は、「労災申請の手続きと書き方(療養補償給付・休業補償給付)」で、記載例を含め詳しくご紹介しています。

労災保険申請手続きの流れ

最後に、労災の申請手続きについて確認しておきましょう。手続きは、次のような流れで進めます。

1. 会社に労災発生を報告する
2. 医療機関で治療を受ける
3. 労災申請の書類を作成し、提出
4. 労働基準監督署による調査、労災認定の判断
5. 給付金の支給

労災が発生したら、まずその旨を会社に連絡します。その後の手続きを円滑に進めるためにも、会社への連絡は失念しないようにしてください。
それから、傷病を負った労働者は病院で治療を受けます。この時、費用の立て替えの負担を避けるなら、労災指定医療機関を受診するといいでしょう。

その後、申請書類を用意し、労基署または医療機関へ提出します。
すると、労基署による調査が開始され、最終的に労基署長によって労災認定・非認定の判断が下されます。ここで労災認定された場合には、指定口座に給付金が振り込まれます(労災指定以外の医療機関受診の場合)。

手続きの流れは、「労災申請の手続きの流れをわかりやすく解説:知っておくべき注意点も紹介」でも詳しくご紹介しています。

まとめ

労災申請の手続きでは、正しい書類を抜け漏れなく作成し、提出することが大切です。不備なく手続きを行えば、労災判定までにかかる時間を短縮することも可能でしょう。
スムーズな給付を受けるためにも、書類作成をはじめとした手続きはよく確認しながら進めるようにしてください。

また、労災トラブルに巻き込まれたり労災による会社への損害賠償を検討したりしている場合には、まずは弁護士にご相談ください。弁護士は、労災被害に遭った方に代わって、複雑な手続きや交渉を代行します。
怪我や病気の療養に専念しながら、問題を早期解決するためにも、法律の専門家である弁護士のサポートを受けましょう。