労災申請の手続きと書き方(障害補償給付・障害(補償)年金前払一時金)

労災保険を請求するには

労働災害によって負傷した場合、労働基準監督署に備え付けてある請求書を提出し、労働基準監督署において必要な調査を行い支給が決定されれば、様々な保険給付を受けることができます。
給付の内容は、療養補償給付、休業補償給付、その他の保険給付(障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金及び介護補償給付など)があります。今回は、障害補償給付と、これにあわせて請求できる障害(補償)年金前払一時金と障害(補償)年金差額一時金について、詳しく見ていきたいと思います。

⇒労災申請の手続きと書き方(療養補償給付・休業補償給付)の書き方はこちら

1.障害補償給付

業務または通勤が原因となった負傷や疾病が治ったとき、身体に一定の障害が残った場合には、障害保障給付(業務災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。

(1)給付の内容

残存障害が障害等級に該当するとき、その障害の程度に応じて以下のように支給されます。

●障害等級1級から7級に該当するとき

障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金

●障害等級8級から14級に該当するとき

障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金

年金の支払月

障害(補償)年金は、支給要件に該当することになった月の翌月分から支給され、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6期に、それぞれの前2ヶ月分が支払われます。
障害等級の詳細につきましては、これまでのコラムで述べてきましたのでそちらとあわせてご覧ください。

(2)請求の手続き

障害(補償)給付を請求するときは、所轄の労働基準監督長に、「障害保障給付支給請求書」(様式10号)または「障害給付支給請求書」(様式第16号の7)を提出します。
また、各請求書に添付する診断書に、医師または歯科医師の診断を記入してもらう必要があります。
診断料を請求する場合は、「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)または「療養給付たる療養の費用請求書」(様式第16号の5)をあわせて提出しなければなりません。
なお、特別支給金の支給申請は、原則として障害(補償)給付の請求と同時に行うことになっています。

(3)申請書の書き方

まずは、負傷又は発病の日時と傷病の治癒した年月日を正確に記入しなければなりません。
そして、災害の発生原因及び発生状況として、①どのような場所で、②どのような作業をしているときに、③どのような物または環境に、④どのような不安全または有害な状態があって、⑤どのような災害が発生したかをわかりやすく記入します。
さらに、給付金算定のため、平均賃金と年間の給与総額を記入します。
記載したとおりであることを証明するため、事業主の名称、所在地、事業主の名称および印鑑も必要となります。

障害(補償)給付請求書記入例

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2.障害(補償)年金前払一時金

障害(補償)年金を受給することになった方は、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。
前払一時金の額は、障害等級に応じて定められている一定額の中から、希望するものを選択できます。なお、前払一時金が支給されると、障害(補償)年金は、各月分の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間支給停止されます。
請求手続きは、原則として、障害(補償)給付の請求と同時に、「障害補償年金・障害年金前払一時金請求書」(年金申請様式第10号)を所轄の労働基準監督署長に提出します。

障害(補償)年金前払一時金請求書記入例

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3.障害(補償)年金差額一時金

障害(補償)年金の受給権者が死亡したとき、既に支給された障害(補償)年金と障害(補償)年金前払一時金の合計額が、障害等級に応じて定められている一定額に満たない場合には、遺族に対して、障害(補償)年金差額一時金が支給されます。
障害(補償)年金差額一時金の支給を受けることが出来る遺族は、次の➀または➁の遺族で、支給を受けられる順位は➀➁の順序、さらに①②の中では記載の順となります。

➀労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
➁➂に該当しない配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹

(1)給付の内容

障害(補償)年金差額一時金の額は、障害等級に応じて定められている一定額から、既に支給された障害(補償)年金と障害(補償)年金前払い一時金の合計額を差し引いた額です。
また、障害特別年金についても、障害(補償)年金と同様に、差額一時金の制度があり、障害特別年金の受給権者が死亡したとき、既に支給された障害特別年金の額が、障害等級に応じて定められている下記の一定額に満たない場合には、その差額が障害特別年金差額一時金として遺族に支給されます。

(2)請求の手続き

障害(補償)年金差額一時金の時効は、被災労働者の死亡した日の翌日から5年ですので注意する必要があります。
障害(補償)年金差額一時金を請求する時は、所轄の労働基準監督署長に「障害補償年金差額一時金・障害年金差額一時金支給請求書」(様式37号の2)を提出しなければなりません。

●提出に当たって必要な添付書類

こういうとき 添付書類
必ず添付するもの 戸籍の謄本または抄本等の請求人死亡した労働者のとの身分関係を証明することが出来る書類
死亡労働者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合 その事実を証明する書類
死亡労働者の収入によって生計を維持していた場合 その事実を証明する書類

障害(補償)年金差額一時金申請書記入例

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